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リレー関連情報

2025年10月07日

【PhotoMOS®通信】PhotoMOSの直流負荷電流が足りない…そんな時に試したい“C接続”

PhotoMOSリレーは高速応答・長寿命などの利点を持つ一方、負荷電流定格が低い点が課題です。本稿では、直流負荷における端子接続の工夫による定格拡張の可能性を紹介します。

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パナソニック インダストリーで、信号制御用リレーのマーケティングを担当している片上です。
【PhotoMOS®通信】は、PhotoMOSリレーやシグナルリレーなどの信号制御用リレーの選定や、それらのリレーを活用した製品設計にお役立ちいただける情報をご紹介していきます。

※「PhotoMOS」「フォトモス」「PhotoMOSリレー」「フォトモスリレー」はパナソニックホールディングス (株) の商標です。


はじめに

PhotoMOSリレーは、メカニカルリレーに比べ機械的劣化がなく応答も速いなど多くの利点を持つ一方で、負荷電流の定格があまり高くないため、採用に制限が出ることがあります。

しかし、直流の負荷電流に限り、特定のPhotoMOSリレーの内部端子の接続方法を工夫することで、定格を拡張できる可能性がありますので、今回はそれについて紹介します。


接続方法の種類

実はAQVシリーズ(6pin)に限り、PhotoMOSリレーにはA接続、B接続、C接続の3種類の接続方法があり、それぞれで負荷電流の定格が異なります。

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A接続
最も一般的に使われる方法で、図1のA接続は4番端子と6番端子を接続します。
AC負荷・DC負荷の両方に対応可能ですが、制御できる負荷電流はB接続、A接続に比べ小さくなります。

B接続
図1のB接続は、4番端子と5番端子または6番端子と5番端子を接続する方法です。
A接続よりオン抵抗が小さくなり、制御可能な電流容量が大きくなります。
ただしDC負荷専用であり、AC負荷には使用できません。

C接続
図1のC接続は、4番端子と6番端子を短絡させた状態で5番端子と接続します。
内部のMOS-FETが並列に接続されるため、オン抵抗がB接続よりさらに小さくなり、制御可能な電流容量は最も大きくなります。
こちらもDC負荷専用で、AC負荷の制御には適用できません。


具体例:AQV252G3のC接続

例えば、AQV252G3は定格が60V/3.5Aとなっていますが、こちらはA接続での定格になります。
B接続では、5.0A、C接続では7.0Aとなっています。

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B接続、C接続は直流負荷電流のみの対応になりますが、最大で3.5Aの2倍である7.0Aまで定格を拡張することが可能です。


対応可能なPhotoMOSラインアップ

AQV252G3以外にもSOP6、DIP6パッケージのPhotoMOSリレーは基本的にA/B/C接続に対応しています。
PhotoMOSリレー 商品ページにて、パッケージ形状をSOP6 or DIP6を選択し、該当シリーズのデータシートをダウンロードして頂くことで確認が可能です。


注意事項

  • B接続・C接続はDC負荷専用で、AC負荷には使用できません。

  • 端子の正しい接続が不可欠であり、誤った接続は故障の原因となります。

  • 絶対最大定格を超えないよう設計し、実機評価を十分に行う必要があります。

  • 発熱や寿命に影響するため、安全マージンを確保してください。

 

まとめ

SOP6,DIP6パッケージのPhotoMOSリレーは出力端子の接続方法の工夫で、同じ製品でも制御可能な負荷電流を拡張できます。
DC負荷に対しては、B接続やC接続を用いることで、より大きな電流容量を確保できるため、用途の幅が広がります。

 

今回ご紹介した内容はいかがだったでしょうか?
みなさまの製品設計や部品選定のお役に立てれば幸いです。
本記事や【PhotoMOS®通信】へのご質問・ご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


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