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リレー関連情報

2014年06月25日

高周波リレーの用語について

高周波リレーの特性を理解するために知っておきたい基本用語について解説します。

お客様からいただいた質問をもとに、高周波リレーの用語についてご紹介します。今回ご紹介する4つの用語は、一般用リレーとはまた違った、高周波リレーの特性を理解するために知っておきたい基本事項となりますので、ぜひ仕様を確認する際の参考にしていただければと思います。

質問:高周波リレーの仕様に「アイソレーション」や「インサーション・ロス」という用語がありますが、どういう意味でしょうか?

答え:「アイソレーション」は、接点が開いている場合(OFFの状態)における、接点間の信号の漏れ度合いのことです。「インサーション・ロス」は、接点が閉じている場合(ONの状態)における信号の損失(挿入損失)のことです。どちらもdB(デシベル)で表します。

高周波回路には、一般用リレーではなく高周波リレーが必要です。高周波回路では、一般的なリレー特性のほかに高周波特性が要求されます。ご質問いただいた「アイソレーション」と「インサーション・ロス」に加え、高周波リレーの特性の基本事項となる用語「リターン・ロス」および「VSWR」についてもあわせて解説します。

1. アイソレーション

アイソレーションは、一般的なリレーの絶縁抵抗に相当します。高周波においては接点が開いているときにも、接点間で信号の漏れが発生します。アイソレーションは、この意図しない信号の漏れの程度を指し、入力電力「Pin」と漏えい電力(出力電力)「Pout」の比です。dB(デシベル)を用いて表示されます。

アイソレーションの値は図1の計算式で得られます。値が大きいほど漏れが少なく、よい特性を示します。
周波数が大きくなると漏れが大きくなり、アイソレーションの値は小さくなります。

20140625-1

通常、アイソレーションは同極間のことをいいますが、接点構成が2cタイプ(切替接点が2つあるもの)の場合は、2接点のスイッチングを行うことが一般的なので、異極間においても、アイソレーションは重要な特性になってきます。

例)10dB=1/10の漏れ(10%の信号の漏れ)
  20dB=1/102の漏れ(1%の信号の漏れ)
  30dB=1/103の漏れ(0.1%の信号の漏れ)
  60dB=1/106の漏れ(0.0001%の信号の漏れ)

2. インサーション・ロス

インサーション・ロスは「挿入損失」とも呼ばれ、一般的なリレーの接触抵抗に相当します。高周波においては、接点が閉じているときに、接点間で信号の損失が発生します。この信号の損失の程度をインサーション・ロスといい、こちらも入力電力「Pin」と出力電力「Pout」の比で、dB(デシベル)を用いて表示します。
インサーション・ロスの値は、図2の計算式で得られます。値が小さいほど損失が少なく、よい特性を示します。周波数が大きくなると損失が大きくなります。インサーション・ロスの値も大きくなり、効率よく作動していないことになります。

20140625-2

例)0.1dB=約2%の信号の損失
  0.2dB=約5%の信号の損失
  1.0dB=約20%の信号の損失

3. リターン・ロスについて

高周波回路においては、信号が一方向に流れるとは限りません。インピーダンスの不整合があると、信号はその地点で反射します。
インピーダンス(交流回路での抵抗のこと)の不整合は、図3と図4を水道管として例えながらご覧いただくとわかりやすいでしょう。水道管の太さ(インピーダンス)が、図4のように途中で変わると水(信号)はスムーズに流れません。信号は反射し、大きなノイズの発生源になります。このように高周波回路では、インピーダンスの整合が重要なポイントとなります。なお、一般的なリレーに反射に相当する特性はなく、高周波リレー特有のものです。

20140625-3 20140625-4

この、信号の反射の程度をリターン・ロスといい、接点ON時の入力電力「Pin」と反射電力「Pref」の比で、こちらもdB(デシベル)で表示します。
リターン・ロスの値は、図5の計算式で得られます、値が大きいほど反射が少なく、よい特性を示します。周波数が大きくなると反射が大きくなり、リターン・ロスの値は小さくなります。反射が大きくなると当然正確な信号伝達ができないので、インサーション・ロスの値が大きくなるという弊害も発生します。

20140625-5

例)10dB=1/10の反射(10%の信号の反射)
  20dB=1/102の反射(1%の信号の反射)
  30dB=1/103の反射(0.1%の信号の反射)
  60dB=1/106の反射(0.0001%信号の反射)

4. VSWRについて

反射の程度を表すもうひとつの特性としてVSWRがあります。VSWRは「Voltage Standing Wave Ratio」の略であり、「電圧定在波比」とも呼ばれています。
このVSWRの値は1に近いほど反射が少なく、よい特性を示しています。周波数が大きくなると反射が大きくなり、VSWRの値は大きくなります。そして、VSWRにはリターン・ロスと図6のような関係式があります。

20140625-6

例)VSWR:1.1=リターン・ロス:約26dB
  VSWR:1.2=リターン・ロス:約21dB
  VSWR:1.5=リターン・ロス:約14dB

高周波リレーの反射の程度は、リターン・ロス、VSWRの2種類の表現を用います。

いかがでしたでしょうか。今回は、高周波リレーの特性と用語について解説しました。
一般用リレーにはない特性ですので、高周波リレーをご使用の際には、ぜひこれらの用語を参考にしていただければと思います。

今回のキーワード

  • 漏れ:この場合の漏れとは、絶縁状態で本来流れることのない電流や信号のことです。
  • 損失:この場合の損失とは、動力や信号として有効に利用されずに失われた電力のことです。

谷口

パナソニック株式会社制御機器コールセンター所属。久留米高専電気工学科卒業後、松下電工株式会社(現・パナソニック)へ入社。25年間の制御部品営業を経て現部署へ。 趣味:サイクリング、登山、マラソン、天体観測

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