はじめに:静電気が半導体リレーに与える意外なリスク
半導体リレーは、メカニカルな接点を持たないため「長寿命」「高速スイッチング」などのメリットがありますが、弱点も存在します。
それが静電気(ESD:Electrostatic Discharge)による破壊です。
とくに製造ラインや検査工程、現場での取り扱い中に、目に見えない静電気放電が端子に加わることで、内部の素子を破壊してしまうケースが報告されています。
「電源も入れていないのに壊れた」「初期不良が多い」と感じる場合、静電気が原因かもしれません。
静電気トラブルを防ぐための6つの基本対策
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人体アースと制電服を必ず使用する
作業者が静電気を帯びたまま部品に触れると、放電が発生するリスクがあります。500kΩ〜1MΩの保護抵抗を通した人体アースと、制電性衣服の着用を徹底しましょう。
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作業机や治具にもアースをとる
導電性のある金属製治具や測定機器、治具ベースにも確実にアースを取り、部品との間で電位差が生じないようにします。
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使用前の部品は必ずアース処理
とくにリード線付きの半導体リレーは、静電気を帯びている可能性があります。使用直前にアース処理して放電させましょう。(低電圧用は特に注意)
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湿度管理を行う
湿度が低いと静電気が溜まりやすくなります。作業エリアは相対湿度45〜60%を目安に保ち、乾燥する季節は加湿器などを活用してください。
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保管・輸送中も帯電防止対策を
導電性フォームやシールドバッグ、帯電防止袋などを使用し、パッケージごと静電気から守る工夫が重要です。
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作業フローを定期点検する
静電気対策は、一度導入しても形骸化しがちです。ESDマットの導通確認、アース線の緩み、作業員の手順逸脱などを定期的にチェックしましょう。
まとめ:静電気対策が信頼性を左右する
半導体リレーは高性能である一方、静電気には非常に敏感です。
たった数百ボルトの放電でも、内部の素子は破壊され、原因がわからない不良品として現場を悩ませる結果になります。
しかし、静電気は「見えないけれど確実に防げるリスク」です。
本記事で紹介した6つの基本対策を現場で徹底することで、不良率の低減・品質向上につながります。