┃はじめに
PhotoMOSリレーは、機械的劣化がなく応答も速いなど多くの利点を持つ一方で、負荷電流の定格がメカニカルリレーに比べあまり高くないため、採用に制限が出ることがあります。
しかし、直流の負荷電流に限り、特定のPhotoMOSリレーの内部端子の接続方法を工夫することで、定格を拡張できる可能性がありますので、今回はそれについて紹介します。
┃接続方法の種類
実はAQVシリーズ(6pin)に限り、PhotoMOSリレーにはA,B,Cの3種類の接続方法があり、それぞれで負荷電流の定格が異なります。

A接続
最も一般的に使われる方法で、図1のA接続は4番端子と6番端子を接続します。
AC負荷・DC負荷の両方に対応可能ですが、制御できる負荷電流は最も小さくなります。
B接続
図1のB接続は、4番端子と5番端子または6番端子と5番端子を接続する方法です。
A接続よりオン抵抗が小さくなり、制御可能な電流容量が大きくなります。
ただしDC負荷専用であり、AC負荷には使用できません。
C接続
図1のC接続は、4番端子と6番端子を短絡させた状態で5番端子と接続します。
内部のMOS-FETが並列に接続されるため、オン抵抗がB接続よりさらに小さくなり、制御可能な電流容量は最も大きくなります。
こちらもDC負荷専用で、AC負荷の制御には適用できません。
┃具体例:AQV252G3のC接続
例えば、AQV252G3は定格が60V/3.3Aとなっていますが、こちらはA接続での定格になります。
B接続では、3.5A、C接続では7.0Aとなっております。

B,C接続は直流負荷電流のみの対応になりますが、最大で3.3Aの2倍以上である7.0Aまで定格を拡張することが可能です。
┃対応可能なPhotoMOSラインアップ
AQV252G3以外にもSOP6、DIP6パッケージのPhotoMOSリレーは基本的にA/B/C接続に対応しています。
下記ページにて、パッケージ形状をSOP6 or DIP6を選択し、該当シリーズのデータシートをDL頂くことで確認が可能です。
https://industry.panasonic.com/jp/ja/products/control/relay/photomos
用途に合わせて接続方法を選択することで、DC負荷の電流容量拡張が可能です。
┃注意事項
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B接続・C接続はDC負荷専用で、AC負荷には使用できません。
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端子の正しい接続が不可欠であり、誤った接続は故障の原因となります。
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絶対最大定格を超えないよう設計し、実機評価を十分に行う必要があります。
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発熱や寿命に影響するため、安全マージンを確保してください。
┃まとめ
PhotoMOSリレーは接続方法の工夫で、同じ素子でも制御可能な負荷電流を拡張できます。
特にDC負荷に対しては、B接続やC接続を用いることで、より大きな電流容量を確保できるため、用途の幅が広がります。