PhotoMOSリレー

半導体リレーにおける超音波洗浄非推奨の理由と注意点

プリント基板の洗浄工程で超音波洗浄が推奨されない理由を、半導体リレーの構造的観点から解説します。ワイヤーボンディングの破損やモールド樹脂への影響など、信頼性低下を招く主なリスクに加え、やむを得ず超音波洗浄を行う際の条件や、代替手段として推奨される洗浄方法も紹介。実装後のリレー品質を確保するための重要な知見が得られます。


はじめに

プリント基板の実装後、フラックス除去などを目的に洗浄工程が行われますが、

半導体リレーでは超音波洗浄が推奨されないケースがほとんどです。

これは内部構造に対する物理的ダメージの懸念があるためです。

 


超音波洗浄がNGとされる主な理由

 

1. ワイヤーボンディングの破損リスク

半導体リレー内部では、ICと外部端子をつなぐ微細な金属ワイヤが使われています。

このため超音波による振動がこのワイヤに共振や疲労を引き起こし、断線や剥離につながる可能性があります。

2. モールド樹脂への影響

外装の樹脂封止(モールド)部分にキャビテーションの衝撃が加わることで、

微細なクラックや層間剥離が発生しやすくなります。

これが湿気や水分の侵入経路となり、絶縁劣化や信頼性低下を引き起こします。

 


超音波洗浄条件(参考)

 

やむを得ず超音波洗浄を行う場合は、以下のような厳しい条件管理が必要になります。

  • 周波数:27〜29kHz

  • 出力:0.25W/cm²以下(洗浄槽底面に対して)

  • 洗浄時間:30秒以下

  • 基板や部品は洗浄槽の底面に触れないよう浮かせた状態で実施

加えて、事前に実機条件下で不具合がないことを検証する必要があります。

 


代替手段(推奨)

 

超音波洗浄の代わりに、以下の方法を検討してください:

  • IPAなど有機溶剤による浸漬洗浄+温風乾燥

  • スプレー洗浄や局所洗浄(筆など)

  • 無洗浄フラックスの使用(洗浄レス設計)


 

まとめ

観点 内容
主なリスク ワイヤ断線、樹脂クラックによる信頼性劣化
超音波洗浄 原則NG。やむを得ない場合は厳格な条件管理が必要
推奨手段 IPA洗浄、局所洗浄、無洗浄プロセスの導入

関連記事

Get notified on new marketing insights

Be the first to know about new B2B SaaS Marketing insights to build or refine your marketing function with the tools and knowledge of today’s industry.