お客様からいただいた質問をもとに、今回は、SSR(ソリッドステートリレー)のゼロクロスについて動作やメリットをご紹介していきます。同じような疑問をお抱えの方は、問題解決にぜひお役立てください。
質問:SSRには、ゼロクロスタイプと非ゼロクロスタイプがありますが、どう違うのですか?答え:ゼロクロスタイプは、負荷電圧がゼロボルト付近の時点でONの動作を行います。このためスイッチング時(ON動作をした時点のことです)にノイズ発生が少ないなどのメリットがあります。一方、非ゼロクロスタイプは、負荷電圧がゼロボルト付近かどうかとは関係なくONの動作を行いますので、動作時間が短く、位相制御が必要な場合に使用されます。 |
SSRはリレーなので、入出力間はフォトトライアックカプラなどで絶縁されています。
ゼロクロスタイプのSSRは、内蔵されているゼロクロス回路により、交流のゼロボルト付近でない地点で入力信号が入った場合でもゼロボルト付近でON動作を行います。低い電圧の時点でONすることによってスイッチングノイズの発生や突入電流の発生を抑えることができます。またOFFする場合、入力信号がOFFになっても、SSRの動作はすぐにはOFFにはならず、負荷電流がほぼゼロ電流になった時点でOFFになります。
非ゼロクロスタイプは、入力信号をONすると、即時にON動作を行います。OFFする場合は、ゼロクロスタイプ同様、負荷電流がほぼゼロになる時点でOFFします。このことより、非ゼロクロスタイプは、入力信号をパルスにしてある位相タイミングでONさせることにより、ヒーターの発熱量やモーターの回転数を変化させるといった制御方法(位相制御)に使用することができます。
いかがでしたでしょうか?今回は、「ゼロクロス」「非ゼロクロス」という二つのSSRについて解説いたしました。一般的には、ゼロクロスタイプを使うことが多いと思いますが、ヒーターやモーターなどの負荷には、非ゼロクロスタイプを使用する制御方法もあります。ぜひ回路設計の参考にしてください。
今回のキーワード
- SSR:SSRとは「Solid State Relay(ソリッドステートリレー)」の略称のことです。入力側にLEDの発光半導体を、出力側にトランジスタやトライアックなどの半導体を用いた無接点のリレーであり、有接点のリレーと比較して高速の応答が可能です。
- 負荷:負荷とは出力側に接続され電気エネルギーを消費するものです。
- 突入電流:突入電流とは電源をONした際に一時的に流れる大電流のことです。
- トライアック:トライアックとは交流用の3端子半導体スイッチング素子であり、ゲート端子に信号を加えることで他の2端子間に双方向に電流を流せるようにしたものです。
- パルス信号:パルス信号とは短い時間幅の信号のことをいいます。一定の周期で繰り返されるものと不規則に繰り返されるものがあります。