今回は、伝送特性についてです。信号を正しく伝送できているかどうかを示すのが、今回解説する伝送特性です。
高速伝送の実現を左右するのは、前回お伝えしたEMCの実現と伝送特性です。
伝送特性は具体的に以下の用語をもとに語られます。
伝送特性は大きく二つに分類されます。
①~③は、周波数軸での特性、対して④・⑤は時間軸での特性を示します。
実際に、伝送特性の評価結果をもらった際に、これらの用語を見たことがある方も多いのではないでしょうか。評価結果を正しく把握するために、それぞれの意味をしっかり理解しましょう。
今回は①~③「周波数特性」について、それぞれの用語を解説していきます。
- ①インサーションロス
- 入力した信号のうち、出力時にどれくらい減衰したかを示します。
- ②リターンロス
- 入力した信号のうち、どれくらい出力されずに反射して返ってきたかを示します。
- ③クロストーク
- 差動伝送で、隣りあう端子にどれくらい信号が伝わってしまったか(乗り移ってしまったか)を示します。
入力側の端子に伝わった信号分を、NEXT(Near End Cross Talk:近い端子への信号の乗り移り)といいます。
対して、出力側の端子に伝わった信号分を、FEXT(Far End Cross Talk:遠い端子への信号の乗り移り)といいます。
これらは伝送性能が良いかどうかを見極めるために用いられるわけですが、そのときは下のようなグラフで表されます。
この評価結果をSパラメーターといいます。
これらのグラフを見るポイントをまとめますと・・・
- 横軸はGHz(ギガヘルツ)=信号の周波数
- 縦軸はdB(デシベル)=伝送信号の減衰量
→グラフの値が下にあるほど減衰や乗り移り(※注1)が大きい
例えば、6GHzでデータを伝送する場合は、各グラフ横軸の6GHzの値で減衰・乗り移りを確認できます。
また、様々な周波数でデータを伝送する場合は、グラフの形がフラットであれば、減衰量が周波数によってあまり変化しないということを確認できます。
※注1:クロストークのときのみ乗り移りを指します。
各伝送規格では、これらの値の許容範囲が定められており、その値を満たすことが必要になります。
当社では、お客様のご要望に応じ各コネクタでのSパラメーター評価結果をお渡ししています。
ご希望の方はぜひ営業所までお問い合わせください。
いかがでしたでしょうか。
今回は信号伝送を評価する際にカナメとなる伝送特性のうち、「周波数特性」について解説いたしました。次回は引き続き伝送特性の「時間軸特性」のスキューとジッタについて解説いたします。
次回もあわせてばっちり信号伝送の基礎をおさえてください!