今回は、光アクティブコネクタのアプリケーション事例シリーズ「産業用ロボット内で活躍する光アクティブコネクタ」についてご紹介します。大容量データの長距離高速通信が可能で、外部のノイズ影響を受けにくい、小型で軽量の光アクティブコネクタ(AOC:Active Optical Connector)は、産業用ロボットに適した重要な通信デバイスです。
この記事は、産業用ロボットの信号伝送・制御・ネットワーク エンジニア向けのお役立ち情報を掲載しています。
産業用ロボットでの高速信号伝送にお困りの方はぜひお役立てください。
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目次
・光アクティブコネクタとは
光アクティブコネクタ(AOC)とは、電気コネクタを接続、電気信号(差動信号)を光信号に変換して光ケーブル(光ファイバー)で伝送するためのコネクタです。数十メートルに及ぶ機器間の長距離通信においても外部のノイズ影響を受けにくく、大容量データの安定した高速伝送を可能とする光伝送デバイスです。さらに、機器間の電気的な絶縁も可能です。
・産業用ロボットで用いられるAOC
AOCは、産業用ロボットのカメラ画像信号や制御信号の伝送用として使われます。
それでは、産業ロボットのどの部分にAOCが使われているのかを見ていきましょう。
1.ロボットアームカメラの画像信号伝送での使用
ロボットのアーム先端カメラには、ロボットの高速動作を妨げないように、小型で軽量のデバイスが求められます。AOCは同じ双方向1チャンネルの光通信デバイスである光トランシーバ(SFP)と比べ、実装面積85%削減、重量94%削減を実現した小型で軽量のデバイスです。
同軸ケーブルと比べて細く、剛性が小さい光ファイバーケーブルは、アーム内の限られたスペースへの配線も容易になり、メンテナンス等の作業性も大幅に向上します。光ファイバーにはモータ等から発生するノイズが重畳しないため、配線長が長くても高画素・大容量の画像データを安定的に伝送することが可能となります。
2.ロボット制御信号の伝送用途での使用
コントローラと制御基板間、各制御基板間はそれぞれ光ファイバーでデイジーチェーン接続されます。
ノイズの影響を受けにくい光デバイスを用いた信頼性の高い通信は、ロボットの誤動作防止だけでなく、データ再送信による動作遅延の防止を図ることもできます。
また、双方向通信により、エンコーダやトルク等の信号を低遅延でコントローラにフィードバックさせることができます。さらに、通信経路をリング構造にすることで、断線時にも対応ができる冗長性の高いシステムを構築することも可能になります。
・FAカメラの伝送課題をAOCが解決
産業用ロボットに搭載されるFAカメラの出力信号や制御信号を伝送するときには下記のような課題があがることがあります。
・周囲にノイズを発生させる機器が多くカメラと画像処理装置間が長距離になってしまう場合、画像伝送信号の品質が確保できなくなり画質が低下する。これによるノイズ対策部品と基板再設計等の工数が増大する。
・シールドケーブルは太くて重いため、配線の取り扱いがしづらく、可動部では使いづらい。
・カメラのサイズが決まっているため、SFPでは大きすぎてカメラ内に収まりきらない。
・SFPは消費電流が大きく、その発熱で画質が低下することもある。
このような課題を、AOCで解決することができるのでしょうか?
もちろん、光アクティブコネクタVシリーズでお困りごとをまるごと解決できます!
AOCは光伝送による高ノイズ耐性により、大容量データの高速伝送を実現します(高精細と高フレームレートの両立)。そして、小型・軽量デバイスでカメラ部の軽量化にも貢献します。高速伝送と省配線・軽量化を共に実現できるのです。
FAカメラ内の限られたスペースでレイアウトすることができるので、レイアウトの自由度が高く、カメラの小型化が可能です。SFPをお使いの箇所に、レイアウトフリー SFPとして置き換えられます。AOCは低消費電力・低発熱ですので放熱設計の必要はありません。また、パナソニック インダストリーのAOCは、LCコネクタに対応した光接続タイプもラインナップしています。コントローラ部と接続する際など、機器間接続が容易です。
・AOC開発エンジニアからのアドバイス
・AOCは伝送帯域の広い伝送デバイスです。入力された信号はそのままの帯域で伝送して出力されます。ただし、入力信号は8B10Bコード変換されたDCバランスが取れた信号が必要です。
・光信号は電磁ノイズに強いですが、光/電気変換部はノイズの影響を受けます。パナソニック インダストリーのAOCは、電気/光変換部は金属シェルで保護しGND接続しており、耐ノイズ対策を行っております。
・「光伝送は扱ったことがなく、難しそう……」と思っていませんか?AOCは電気コネクタ実装による電気インターフェースです。通常の電気設計で完結できます。
・光接続タイプはSFPから置換え可能なデバイスです。SFPにお困りごとがあればぜひ置換えをご検討ください。
・AOCに対するユーザからの声
「ロボットに搭載し、『耐ノイズ性』『基板間の絶縁性』『伝送路の軽量化』が実現できた」
「ノイズ対策ができること、狭い場所でも設置できる小型サイズであることが良い」
「耐ノイズで苦労していたので光伝送デバイスを検討した」
「光伝送に変えてから、電気伝送では時々発生していたビットエラーの発生がなくなった」
「ノイズ対策のための設計に思考錯誤を繰り返す世界から解放されて、開発スケジュールどおり製品発売できた」
・AOCをもっと知りたい
産業用ロボットの中でAOCが活躍していることがおわかりいただけたでしょうか?
今回の記事を通じてAOCについてのご理解が少しでも深まれば幸いです。
AOCをもっと知りたい!アプリケーションにAOCを使ってみたい!という方は、ぜひ特集ページをご覧ください。