お客さまからいただいた質問をもとに、今回はFPC・FFC・メンブレンの構造と特徴をご紹介します。今回は前編として、FPC・FFCについて詳しくみていきます。機器の設計時にぜひお役立てください。
機器の小型化、高密度化、高性能化、軽量化などに、欠かすことのできないのが、今回ご紹介する、FPC・FFC・メンブレンといったフレキシブル配線板です。
折り曲げることが可能なうえ、薄いためスペースが限られている部分においても接続することができます。
FPC・FFC・メンブレンはどれも曲がる配線板ですが、加工方法から異なります。そのため、用途・耐熱性といったポイントでそれぞれ異なる特徴があります。
FPCとはFlexible Printed Circuitの略です。
樹脂フィルムに張り合わせた銅箔を配線パターンに合わせエッチング加工し、端子部以外を絶縁フィルムで覆い作成した配線板です。(図1)
接点部の表面処理はAuめっきです。
この配線が片面にある片面FPCと、両面にある両面FPC、またそれらを組み合わせた多層FPCなどがあります。
配線パターンをエッチング加工で作るので、曲がった配線などを自由に設計することが可能です。
FFCとはFlexible Flat Cableの略です。平らで細い電線を束ね、表面をPET素材の絶縁フィルムでサンドイッチした配線材です。(図2)
接点部の表面処理はAuまたはSnめっきが用いられます。
FFCは銅線を並べているため、FPCと異なり真っ直ぐな配線しかできません。
1. 用途
FPCもFFCも、信号・電源の接続用として使われます。
FFCは、中型の家電、例えばコピー機・FAXなどのOA家電などの接続に用いられることが多いです。
対して、FPCはFFCに比べて、より屈曲性に優れ、より高密度な配線が可能なため小型モバイル機器にも使われます。また、自動車やロボットなどにも使われています。
2. 耐リフロー性
FPCは表面をポリイミドで覆うため、耐熱性に優れています。コネクタ等の部品をFPCにリフロー実装することが可能です。
対して、FFCは表面をPET素材などで覆うため、リフロー加工が可能なまでの耐熱性は有していません。
FPCは部品のリフロー実装が可能なため、FPC用コネクタだけでなくソケット・ヘッダの2ピースを嵌合する狭ピッチコネクタも使用可能です。
同じような名前であっても、このようにFPC・FFCは見た目も仕様も異なるのですね。
基本的な用途は同じということもあり、FPC・FFCどちらも使うという方もいらっしゃるかもしれません。
パナソニックでは、FPC・2ピーススタッキング対応のコネクタを多数とりそろえており、またY5BシリーズはFFCにも対応しています。
いかかでしたでしょうか。今回はFPC・FFCそれぞれの特徴をご紹介いたしました。今回はFPC・FFCについてご紹介してここまでページが来てしまいました・・・ので、もうひとつご紹介したいメンブレンについては次回にいたします!