「μAレベルの微小電流をスイッチしたいが、シグナルリレーで本当に大丈夫だろうか?」
「PhotoMOSリレーは便利そうだけど、OFF時に電流が漏れるって聞いたことがある……」
「そもそも、この2つはどう使い分ければいいの?」
そんな疑問をお持ちの設計者の方へ。
本記事では、**微小負荷制御でよく比較される「シグナルリレー」と「PhotoMOSリレー」**について、それぞれの構造的な違いから、適した用途や選定のポイントを整理します。
両製品を自社で開発・製造しているパナソニック インダストリーだからこそお伝えできる、比較情報です。
シグナルリレーは、内部に金属接点を持つ機械式のスイッチング素子です。中でも当社のTXシリーズのように、金めっき接点や高精度な接点構造を採用することで、微小負荷への対応力を高めた製品もあります。
最小適用負荷:10μA / 10mV DC(当社TXシリーズの場合)
OFF時は物理的に接点が開くため、完全に電流を遮断
電源不要で制御可能(コイル駆動による)
接点構造によっては、極めて小さな信号にも安定して対応可能です。
特に「OFF時に一切電流を流したくない」という制御回路では、今なお重要な選択肢となっています。
PhotoMOSリレーは、内部にLEDとMOSFETを用いた無接点の半導体スイッチです。
物理接点を持たないことで、シグナルリレーにはない多くの利点を備えています。
構造上チャタリングがなく、ノイズに強い
接点の役割を半導体で行うため、開閉寿命はなし
μA~mVレベルの微小信号も安定してスイッチ可能
表面実装・小型化に対応し、省スペース設計にも有利
ただし、OFF時に数nA~μAのリーク電流が発生するため、「完全遮断」が必要な用途では注意が必要です。
項目 | シグナルリレー | PhotoMOSリレー |
---|---|---|
微小負荷対応 | △ 製品により対応可(10μA/10mV程度) | ◎ μA〜nAオーダーまで対応可 |
ノイズ特性 | △ 接点チャタリングあり | ◎ ノイズレス(無接点構造) |
OFF時の電流遮断 | ◎ 完全遮断可能 | △ リーク電流あり(数nA〜μA) |
動作寿命 | ○ 数十万回(接点摩耗あり) | ◎ 開閉寿命なし |
動作速度 | △ 数ms程度 | ◎ 数十μs(高速応答) |
実装性 | △ DIP型中心(手実装向け) | ◎ 小型・SMD対応あり |
ご要望・用途 | 推奨リレー |
---|---|
OFF時に電流を完全に遮断したい | シグナルリレー |
ノイズの少ない静音設計をしたい | PhotoMOSリレー |
頻繁にON/OFFする高頻度スイッチング | PhotoMOSリレー |
小型化・高密度実装が求められる | PhotoMOSリレー |
シグナルリレーとPhotoMOSリレーは、どちらも微小負荷に対応可能な製品ですが、
その構造と特性の違いにより、適材適所の使い分けが必要です。
完全遮断やコストを重視する場合はシグナルリレー
高頻度・ノイズ対策・省スペースを重視する場合はPhotoMOSリレー