シグナルリレーとPhotoMOSリレー、それぞれの特長と用途別の使い分け
「μAレベルの微小電流をスイッチしたいが、シグナルリレーで本当に大丈夫だろうか?」
「PhotoMOSリレーは便利そうだけど、OFF時に電流が漏れるって聞いたことがある……」
「そもそも、この2つはどう使い分ければいいの?」
そんな疑問をお持ちの設計者の方へ。
本記事では、**微小負荷制御でよく比較される「シグナルリレー」と「PhotoMOSリレー」**について、それぞれの構造的な違いから、適した用途や選定のポイントを整理します。
両製品を自社で開発・製造しているパナソニック インダストリーだからこそお伝えできる、比較情報です。
シグナルリレー ― 微小信号に対応する高信頼な機械式リレー
シグナルリレーは、内部に金属接点を持つ機械式のスイッチング素子です。中でも当社のTXシリーズのように、金めっき接点や高精度な接点構造を採用することで、微小負荷への対応力を高めた製品もあります。
主な特長:
接点構造によっては、極めて小さな信号にも安定して対応可能です。
特に「OFF時に一切電流を流したくない」という制御回路では、今なお重要な選択肢となっています。
PhotoMOSリレー ― ノイズレスかつ長寿命な半導体リレー
PhotoMOSリレーは、内部にLEDとMOSFETを用いた無接点の半導体スイッチです。
物理接点を持たないことで、シグナルリレーにはない多くの利点を備えています。
主な特長:
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構造上チャタリングがなく、ノイズに強い
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接点の役割を半導体で行うため、開閉寿命はなし
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μA~mVレベルの微小信号も安定してスイッチ可能
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表面実装・小型化に対応し、省スペース設計にも有利
ただし、OFF時に数nA~μAのリーク電流が発生するため、「完全遮断」が必要な用途では注意が必要です。
特性比較表
項目 |
シグナルリレー |
PhotoMOSリレー |
微小負荷対応 |
△ 製品により対応可(10μA/10mV程度) |
◎ μA〜nAオーダーまで対応可 |
ノイズ特性 |
△ 接点チャタリングあり |
◎ ノイズレス(無接点構造) |
OFF時の電流遮断 |
◎ 完全遮断可能 |
△ リーク電流あり(数nA〜μA) |
動作寿命 |
○ 数十万回(接点摩耗あり) |
◎ 開閉寿命なし |
動作速度 |
△ 数ms程度 |
◎ 数十μs(高速応答) |
実装性 |
△ DIP型中心(手実装向け) |
◎ 小型・SMD対応あり |
用途別おすすめ選定
ご要望・用途 |
推奨リレー |
OFF時に電流を完全に遮断したい |
シグナルリレー |
ノイズの少ない静音設計をしたい |
PhotoMOSリレー |
頻繁にON/OFFする高頻度スイッチング |
PhotoMOSリレー |
小型化・高密度実装が求められる |
PhotoMOSリレー |
まとめ
シグナルリレーとPhotoMOSリレーは、どちらも微小負荷に対応可能な製品ですが、
その構造と特性の違いにより、適材適所の使い分けが必要です。
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