はじめに
PhotoMOSリレーの設計・実装時に「極性」を見落としてしまい不具合が生じたことはないでしょうか?
記事では、5つのセクションに分けて解説しています。
・PhotoMOSリレーAC/DC兼用タイプと、DC専用タイプ
・PhotoMOSリレーに極性の有無が生じる理由
・極性有無と、具体的な極性の確認方法
・もしDC専用PhotoMOSリレーの極性を間違えた場合どうなるか?
・PhotoMOSリレーの入力側の極性について
PhotoMOSリレーAC/DC兼用タイプと、DC専用タイプ
PhotoMOSリレーの出力は、次の2タイプに分けられます。
・AC/DC兼用PhotoMOSリレー
・DC専用タイプPhotoMOSリレー
AC/DC兼用PhotoMOSリレー
構成:MOSFETを2個搭載
極性なし
DC専用PhotoMOSリレー
構成:MOSFETを1個搭載
極性あり
PhotoMOSリレーに極性の有無が生じる理由
PhotoMOSリレーの出力部に使用されるMOSFETには構造上、ソース端子とドレイン端子との間に必ず寄生ダイオード(ボディダイオード)が形成されます。
寄生ダイオードはオフ状態でも、ソース端子(6番ピン)からドレイン端子(4番ピン)への一方向(ダイオードの順方向)には電流が流れる特性があります。
そのため、MOSFETを1つだけ使用している1aタイプのDC専用PhotoMOSリレーでは、出力端子の極性を間違えて逆に接続すると入力信号が入っていないリレーオフ時でも出力側に電流が流れてしまいます。
このことから、DC専用PhotoMOSリレーには極性があります。
そして、MOSFETを2つ使用するAC/DC兼用PhotoMOSリレーでは、MOSFETのソース端子を共通にして、直列接続しています。
このようにすることで、寄生ダイオードの影響を受けず、AC/DC兼用を実現しています。
極性有無と、具体的な極性の確認方法
極性の有無については下記3つの方法で確認が可能です。
品番体系での判別
PhotoMOSリレーには品番体系があり、4桁目が「1」のシリーズ(例:AQZ1***)はDC専用タイプを示しています。
データシートでの判別
データシート1ページ目の「分類」欄に「AC/DC」または「DC専用」などの表記があります。
スペック条件検索での判別
当社ウェブサイトのスペック条件検索にて「電圧タイプ」の項目からAC/DCまたはDCを選択できます。
具体的な極性(+ピン、-ピンは何番?)はデータシートの「内部ブロック図」と「端子結線図」を確認してください。
DC専用:4番ピンが+、6番ピンが-と記載があります。
AC/DC兼用:MOSFET 2個により寄生ダイオードの影響が相殺されるため、極性がありません。
もしDC専用PhotoMOSリレーの極性を間違えた場合どうなるか
DC専用タイプを逆極性で接続すると、入力信号の有無にかかわらず、寄生ダイオードを経由して出力側に電流が流れ続けます。
その結果、意図せぬ動作、異常な発熱、最悪の場合は素子の破損や周辺回路へのダメージに至る恐れがあり、大変危険です。
設計・実装段階での極性確認を徹底し、試作・量産時にはオフ状態の漏れ電流(両極性)を評価して誤配線を未然に防止してください。
PhotoMOSリレーの入力側の極性について
電流駆動タイプのPhotoMOSリレーは、入力部にLEDを用いているため極性があります。
こちらについても、出力側と同様、データシートの「端子結線図」や「内部ブロック図」で確認可能です。
まとめ
PhotoMOSリレーの出力は、AC/DC兼用(極性なし)とDC専用(極性あり)の2タイプがあります。
違いはMOSFETの構成に起因し、DC専用は1個、AC/DC兼用は2個のMOSFETをソース共通で直列接続して寄生ダイオードの影響を相殺しています。