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2026年09月24日

容量だけでは選べない? 電気二重層キャパシタ(EDLC)の「内部抵抗」と「容量」を正しく理解する

電気二重層キャパシタ(EDLC)を選定する際、多くの方がまず注目するのは容量(F)ではないでしょうか。確かに容量はバックアップ時間や蓄積可能なエネルギー量を決める重要な指標です。しかし実際のアプリケーションでは、容量だけを見て部品を選定すると期待した性能が得られないことがあります。その大きな理由が「内部抵抗(ESR)」です。今回は、電気二重層キャパシタの容量と内部抵抗の関係、そして設計時に知っておきたいポイントについて解説します。

 

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目次
・電気二重層キャパシタの容量はどう測定されるのか
・放電カーブは理想的な直線ではない
・測定条件によって容量は変わる
・内部抵抗とは何か
・内部抵抗の測定方法は1つではない
・低抵抗タイプではさらに注意が必要
・実は「容量」と「内部抵抗」は切り離して考えられない
・まとめ

 

・電気二重層キャパシタの容量はどう測定されるのか

一般的なコンデンサであれば、LCRメータを用いて1kHzや120Hzなどの交流信号で容量を測定できます。しかし、電気二重層キャパシタは容量が非常に大きく、内部構造も一般的なコンデンサとは異なるため、通常のLCRメータでは正確な容量測定ができません。
そのため、実際には一定電流で放電した際の電圧変化から容量を求める方法が用いられます。

放電中の電圧変化から、

ΔV = V1 - V2
Δt = t2 - t1 V1~V2 までの放電時間)

を用いて静電容量を算出します。

 

 

・放電カーブは理想的な直線ではない

教科書に登場する理想的なコンデンサでは、一定電流放電時の電圧は直線的に変化します。
しかし電気二重層キャパシタの放電カーブは厳密には直線ではなく、緩やかな曲線を描きます。

このようなイメージ →

さらに放電開始直後は放電カーブが鈍り、全体としては非常に緩やかなS字状の特性を示します。

このようなイメージ →

このため、容量測定では放電開始直後の不安定な領域を避け、特性が安定する電圧範囲や時間範囲を設定して評価を行います。

 

 

・測定条件によって容量は変わる

ここで重要なのが、「容量は絶対値ではなく、測定条件によって変化する」という点です。
例えばバックアップ用途では数時間から数日の放電が対象になりますが、パルス放電のような極短時間の放電では状況が異なります。
内部のすべての蓄電領域からエネルギーを取り出す前に放電が終了するため、見かけ上の容量はカタログ値より小さくなる場合があります。




つまり、

●長時間バックアップ用途 → カタログ容量に近い性能
●パルス放電用途 → 見かけの容量が小さく見える場合がある

という違いが発生します。

 

・内部抵抗(ERS)とは何か

内部抵抗(ESR)は、電気二重層キャパシタ内部に存在する抵抗成分です。
放電時に電流が流れると、

の電圧降下が発生します。
たとえ容量が十分あっても、内部抵抗が高ければ大電流放電時に大きな電圧降下が生じ、回路が正常に動作しなくなる可能性があります。 

 

・内部抵抗の測定方法は1つではない

内部抵抗の測定には主に以下の2種類があります。

交流法(AC法)
交流信号を印加して測定する方法です。
比較的短時間の応答特性を評価しやすく、高周波特性に近い値が得られます。 

直流法(DC法)
放電カーブから電圧変化を読み取り算出する方法です。
バックアップ用途のような実際の放電動作に近い条件で評価できるため、多くのアプリケーションで利用されています。

一般的には、

●交流法の測定値 ≤ 直流法の測定値

となる傾向があります。 
直流法では容量同様に、放電開始直後の鈍りを考慮し測定範囲を決めています。

測定範囲での放電カーブ接線の t = 0での交点の電圧 V1と放電開始電圧 V0との差 ΔVから内部抵抗算出

 

・低抵抗タイプではさらに注意が必要

近年の低ESRタイプの電気二重層キャパシタでは、放電開始直後の鈍りが非常に小さい製品もあります。そのため従来の直流測定法をそのまま適用すると、計算上マイナスの内部抵抗になってしまうケースもあります。

このような製品では、

●msオーダーの瞬間的な電圧変化を利用する方法
●交流法による評価

など、用途に応じた測定手法が採用されることがあります。。

同様の測定方法で測定を行うとV0とV1の値が逆転し、計算上内部抵抗が⊖の値になる場合がある

 

・実は「容量」と「内部抵抗」は切り離して考えられない

電気二重層キャパシタ選定においてありがちな失敗は、「容量だけ見て選ぶ」ことです。

例えば100 Fの製品でも、

●長時間バックアップ用途では容量が重要
●パルス放電用途では内部抵抗が重要

と評価ポイントが変わります。

大電流用途では内部抵抗による電圧降下が性能を左右し、バックアップ用途では容量が支配的になります。

つまり、

●用途によって容量と内部抵抗のどちらを重視するかが変わる

ということです。

 

・まとめ

電気二重層キャパシタの性能は、容量だけでは評価できません。

●容量は放電条件によって見え方が変わる
●放電カーブは理想的な直線ではない
●内部抵抗は測定方法によって異なる
●パルス用途では内部抵抗が重要になる
●バックアップ用途では容量が重要になる


電気二重層キャパシタを最大限活用するためには、カタログの容量値だけを見るのではなく、実際の使用条件に近い形で容量と内部抵抗の両方を評価することが重要です。
設計の第一歩は、「何Fあるか」ではなく、「その容量をどの条件で取り出せるか」を理解することから始まります。



 

 


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