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リレー関連情報

投稿日:2013年07月30日 / 更新日:2024年08月02日

AC負荷用SSRがONのままで復帰しない原因

AC負荷用SSRがONのままで復帰しない現象について解説します。

お客様からいただいた質問をもとに、今回は、AC負荷用SSR(ソリッドステートリレー)がONのままで復帰しない現象についての要因と解説を、ご紹介していきます。同じような不安や疑問の解消に、ぜひお役立てください。

質問:AC負荷用SSRがON状態のときに、一次側をOFFにしたにもかかわらず、負荷がONのままで復帰しません。何が要因でしょうか?

回答:要因として考えられることは、次の3つです。
(1)AC(交流のことです)負荷を整流した場合で負荷電流がゼロになるポイントがない。
(2)回路に流れる負荷電流の値が、SSRの定格である最小負荷電流や開路時漏れ電流より小さい場合。
(3)回路の使用周波数が、SSRの定格の周波数範囲を超えてしまっていたり、誘導負荷により逆起電圧が生じてしまったりすることで、急峻(波が急激にあがるイメージです)な立ち上がりの電圧がSSRの二次側に印加されてしまっている場合。

それぞれの要因について、詳細に説明します。
まずは(1)の要因についてです。SSRは二次側のON、OFFをトライアック(双方向サイリスタのことです)で制御しています。トライアックの特性上、一旦トライアックを動作させ、アノード-カソード間に電流を流した場合、アノード-カソード間の電流値がゼロにならなければOFFしません。
ACの場合、位相が反転するときにアノード-カソード間に流れる電流値が0になりますので、確実にOFFします。しかし、整流された波形の場合、アノード-カソード間に流れる電流値が0にならず、OFFできなくなってしまう可能性があります。

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次に(2)の要因についてです。この要因は、回路に流れる電流値がSSRの定格である最小負荷電流より小さい場合と、開路時漏れ電流より小さい場合の二つに分けられます。
まず前者ですが、回路に流れる電流値が、SSRの最小負荷電流より小さい場合、SSRの回路上、トライアックが正常に動作しません。その結果、SSRが誤動作し、負荷がOFFできなくなってしまう可能性があります。
後者の、回路に流れる電流値が開路時漏れ電流値より小さい場合、SSRがOFFの状態でも漏れ電流により負荷が動作してしまいます。どちらの場合も、負荷に並列にダミー抵抗を接続し、回路に流れる電流値を、SSRの定格の最小負荷電流値以上になるようにしてください。

最後に(3)の要因についてです。トライアックの特性上、ターンオフ時にアノード-カソード間に急峻な立ち上がりの電圧が印加されると、誤動作してOFFできなくなってしまう(再度ONしてしまう)恐れがあります。(トライアックがON状態からOFF状態になることをターンオフ、逆にOFF状態からON状態になることをターンオンといいます。)
上記のような状態は、使用周波数がSSRの定格の周波数を超える場合や誘導負荷から逆起電圧が生じる場合に起こりやすくなります。対策として使用周波数はSSRの定格の範囲内でご使用ください。また、逆起電圧が生じる場合は保護回路で逆起電圧を抑えてください。

いかがでしたでしょうか?今回は「AC負荷用SSRがONのまま復帰しない」というトラブルの、メカニズムと対策について解説しました、最小負荷電流より負荷電流が小さくなっている、という要因については、特に見落としやすいポイントです。ひとつずつ要因を確かめながら、解決にお役立て下さい。

今回のキーワード

  • 負荷電流:負荷電流とは出力側に流れ、消費される電流のことです。
  • AC:ACとは交流電流のことをいい、時間とともに周期的に大きさと向きが変化する電流のことをいいます。
  • トライアック:トライアックとは「双方向サイリスタ」と呼ばれ、サイリスタを二個、逆並列に接続することで、交流を制御できるようにした半導体素子です。

 

 

 

 

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