今回は、プアはんだを防ぐ、FPCのカバーレイ・接着剤といった各層の厚み設計についてです。
FPCへコネクタを表面実装する時に、パターンやはんだ量の調整等はさることながら、FPCのカバーレイ・接着剤の厚みも考慮していただければ、よりしっかりとはんだ実装をしていただくことができます。
まず、ご存知の方も多いと思いますが、FPCは複数の異なる素材の層が重なって構成されています。
片側FPCや多層FPCや耐熱性の高いものなど、FPCによって構造も様々ですが、
ごく簡単に説明しますと、
・ベース材(ポリイミドなど)
・ベースと銅箔をひっつける 接着剤
・パターン部分である 銅箔
・銅箔とカバーレイをひっつける 接着剤
・パターン部分以外を絶縁・保護する カバーレイ
というように下から重なっています。(図1)
コネクタを実装する表面部分は、パターンの銅箔を接着剤+カバーレイで保護されている場合がほとんどです。(はんだ実装する部分のようにパターン露出が必要な箇所は除きます)
プアはんだを防止するには、このカバーレイと接着面の厚みが非常に重要となります。
コネクタではスタンドオフ(コネクタをプリント基板面より上げて隙間を設けるための構造)を持っているものもありますが、一部の特に低背なコネクタは、このスタンドオフを設けておりません。
スタンドオフがないコネクタは、図3のように端子がコネクタの成形部分底面と同じ高さにあります。そのため、カバーレイや接着面が分厚くなると、端子とはんだでつなげる先である、銅箔部からどんどん距離が生まれてしまいます。すなわち、はんだがよりつきにくくなり、プアはんだが発生してしまう可能性があるのです。
また一方では、カバーレイや接着面が分厚くなると、スクリーン印刷の際にはんだ量が多くなってしまうために、はんだ過多となるリスクも増えてしまいます。
このために、実際にFPCへはんだ実装していただく際は、カバーレイ・接着面については、できるだけ薄い構造にしていだく必要があります。
どうしてもプアはんだが多発してしまう場合は、各絶縁層の厚みの実測確認をしてみてください。カバーレイの一般的な厚みは接着剤を含め、30μm程度ですが、これ以上になる場合はコネクタ下面のカバーレイ・接着剤の厚みを見直してみてください。
いかがでしたでしょうか。今回はFPCはんだ実装時におけるコネクタのカバーレイ・接着剤の厚みについて解説いたしました。プアはんだを無くすために、これらを念頭においてFPCを設計してみてください。