お客さまからいただいた質問をもとに、今回も狭ピッチコネクタ(2ピーススタッキングコネクタ)とFPCコネクタ(FPC/FFCコネクタ)を機構設計時の重要なポイントから比較します。今回は後編です。
前回は、機器の小型化という観点で、「1.省スペース性」「2.低背性」について比較しました。今回は、コネクタの使い勝手の良さという観点で、「3.設計自由度」「4.嵌合作業性」について比較してみましょう。
コネクタの使い勝手のよさとして、設計がしやすいかどうか=「設計自由度」、嵌合作業・FPC挿入作業がしやすいかどうか=「嵌合作業性」の2つがキーポイントとなります。
3.設計自由度
では設計自由度の観点から考えてみましょう。狭ピッチコネクタは、ソケットとヘッダを垂直方向に嵌合するため、基板の中央部でも端部でもコネクタの配置が可能です。対して、FPCコネクタは小型低背用途では水平方向にFPCを挿入するものが主流であり、コネクタ周囲への部品配置やFPCの引き回しを考慮すると、基板の端部に配置せざるを得ない場合が多くなります。基板上どこでも配置可能という点で、狭ピッチコネクタの方が設計自由度が高くなります。4. 嵌合作業性
続いて嵌合作業性について触れたいと思います。狭ピッチコネクタは、ソケットとヘッダを上下に嵌める1工程で嵌合できますが、レバーを有するFPCコネクタは、FPCを挿入する→レバーを閉じるという2工程が必要になります。※注また、狭ピッチコネクタはソケットとヘッダを上下に位置決めをして嵌合するだけですが、FPCコネクタはFPCを引き回しながら真っ直ぐ奥までコネクタに挿入し、FPCが抜けないよう配慮しながらレバーを閉じる必要があります。 (図1)
こういった作業工数・作業し易さの違いで、狭ピッチコネクタの方が嵌合作業性に優れると考えられます。
※注)パナソニックでは、FPCコネクタのレバーを上げて納入いたします。(他社では、レバーを閉じた状態のまま納入される場合もあります。その場合、レバーを上げる作業が1工程追加されます。)
こう見ると、狭ピッチコネクタの方が、優れているところばかり見えてしまいますが・・・、
FPCコネクタの大きな強みは1ピースコネクタであることです。2ピースである狭ピッチコネクタに比べ、1ピースであるFPCコネクタは実装作業が1度で良いのです!また、コネクタの在庫管理をシンプルにすることができます。
いかがでしたでしょうか。前回に引き続き、狭ピッチコネクタとFPCコネクタを比べました。どちらも特徴があり、う~ん、選べないわ!となってしまいそうですが、それぞれの良さをふまえて選定すると、最適な接続ができるように