お客さまからいただいた質問をもとに、今回はリフロー実装の温度プロファイルについて解説いたします。温度プロファイルをしっかり確認していただくことは、はんだ不良を防ぐ重要な鍵です。ぜひご参考ください。
小型なコネクタにおいては、リフロー実装をする場合も多いですよね。
コネクタメーカーでは、カタログなどで、リフロー時の温度プロファイルをお伝えしています。
リフロー実装の際は、まずはそれらを確認していただきますようお願いいたします。
この温度プロファイルですが、温度設定により、4つの段階に分けることができます。
図1は当社推奨のリフロープロファイル条件です。
それぞれの段階でのポイント・ご注意点を解説いたします。
① 昇温部
はんだ中のフラックスに含まれる溶剤を蒸発させながら温度を上げる段階。
ご注意:急激に温度上昇しないようにしてください。溶剤の沸騰を招き、はんだボールの発生(※1)やボイド生成(※2)の要因になります。
② プリヒート部
部品温度にバラつきが出来ない様に温度の均一化を行なうと共に、フラックスの活性化しやすい状態をつくる段階。
ご注意:プリヒート工程が短すぎると、下記のような不良が発生しやすくなります。
不良例) ウイッキング現象(※3)、はんだブリッジ(※4)、はんだ濡れ性不良
また、2分以上のプリヒート工程を行うと、本加熱までに活性剤が無くなり、はんだボールが発生しやすくなります。
③ 本加熱部
PC板と実装部品を均一に昇温させフラックスの活性化状態を促進し、はんだ溶融温度まで昇温する段階。
ご注意:急激に温度上昇しないようにしてください。ボイド発生の要因となります。
また、反対に緩やかすぎる温度上昇は、はんだ濡れ性の低下の要因となります。
高温状態が長く続かないようにご注意ください。実装部品の樹脂部溶融や熱変形を引き起こします。
④ 冷却部
送風により冷却を行なう段階。
ご注意:急速に冷却するようにしてください。緩やかに冷却すると、はんだ強度が弱くなる場合があります。
※注釈
1)はんだボール:はんだ上にできるボール状の塊。他の接点などに飛び、ショートを引き起こす要因になる。
2)ボイド生成:はんだ内部に気泡ができてしまうこと。はんだ強度が弱くなってしまう。
3) ウイッキング現象:はんだがコネクタの端子へ吸い上げられる現象。はんだ強度の低下・導通不良を引き起こす。
4) はんだブリッジ:隣接する端子にまではんだ付けしてしまうこと。
いかがでしたでしょうか。今回はコネクタのリフロー実装における温度プロファイルついて解説いたしました。
細かなポイントをご理解いただき、ぜひ、はんだ不良防止にご活用ください。