お客さまからいただいた質問をもとに、今回もコネクタの機械的特性について解説します。今回はFPCコネクタに関わる「ちから」についてです。機器の設計時にぜひお役立てください。
今回も前回に引き続き、コネクタに関わるちからについて解説いたします。
狭ピッチコネクタに関わる「ちから」については、前回のブログでしっかりおさえていただきました。
今回はFPCコネクタに関わる「ちから」、下記表のFPC挿入力・レバーロック力・FPC保持力について詳しく見ていきましょう。
1.FPC挿入力
FPC挿入力とは、コネクタにFPCを挿入する際に必要な力です。
小型ICT市場ではFPCコネクタ=ZIF(Zero Insertion Force)コネクタというイメージが先行しがちですが、FPCコネクタ全体ではNON-ZIFコネクタや、LIF(Light Insertion Force)コネクタも存在します。
(ちなみにパナソニックが得意としているFPCコネクタ:バックロックはLIFコネクタに該当します)
FPCコネクタの作業性に関わる力であり、この力が大きすぎると、コネクタにFPCがきちんと挿入できないリスクがあります。
2.レバーロック力
レバーロック力とはFPCコネクタにおいて、FPCを挿入し、レバーをロックするために必要な力です。(図1)
レバーのない商品ではこの力は存在しません。
こちらもFPC挿入力同様、FPCコネクタの作業性に関わる力であり、この力が大きすぎると、レバーロック時に大きな力が必要になります。
3.FPC保持力
FPC保持力とはFPCコネクタにおいて、FPCを嵌合した状態で、FPCが挿入軸方向へ抜けるまでの最大荷重です。(図1)
狭ピッチコネクタにおける抜去力と同様に、FPC保持力はFPCコネクタの接続信頼性にかかわります。
この力が小さすぎると、機器内で衝撃や振動などによりFPCがコネクタから抜けてしまうリスクが高くなります。
当社カタログでは「○○N以上」として値を示しておりますが、これは、最低でも○○Nの力ではFPCがコネクタから抜けないということを意味しています。
前回から引き続き、コネクタの機械的特性の基本について、ご理解を深めていただけましたでしょうか。
作業性・接続信頼性はどちらも、コネクタを実際使っていただく際には重要なポイントです。理解を深めていただいた内容を、機器の設計・コネクタ選定にぜひお役立てください。