お客さまからいただいた質問をもとに、今回はコネクタの機械的特性について解説します。基本的な特性ですが、コネクタの作業性・接続信頼性を左右する重要なものです。機器の設計時にぜひお役立てください。
今回からは2回続けて、狭ピッチコネクタ・FPCコネクタに関わる「ちから」についてご紹介いたします。
コネクタに関わる「ちから」とは、すなわちコネクタの機械的特性を示したものです。
下記表1をご覧ください。
狭ピッチコネクタ・FPCコネクタに関わる「ちから」は、下記表1のように、それぞれコネクタの作業性を示すもの・接続信頼性を示すものの2つに大きく分けることができます。
今回は狭ピッチコネクタ編として、挿入力・抜去力について詳しくみていきます。
1.挿入力
挿入力とは狭ピッチコネクタにおいて、ソケットとヘッダを嵌合させるために必要な力です。
この力は、狭ピッチコネクタの嵌合作業性に関わり、この力が大きすぎると、嵌合作業時に大きな力が必要となるため、作業がしづらくなります。
当社カタログでは「総合挿入力」として記載され、値については「○○N以下」と示しています。
これは○○Nで押せば必ず嵌合できることを意味しています。
2.抜去力
抜去力(“ばっきょりょく”と読みます)とは、狭ピッチコネクタにおいて、嵌合状態のソケットとヘッダを外すのに必要な引き抜き力の最大値で、狭ピッチコネクタの接続信頼性に関わります。
この力が小さすぎると、工程内の移動や機器内での衝撃・振動などによりコネクタの嵌合が外れてしまう等のリスクが高くなります。
当社カタログでは、「総合抜去力」として記載され、値については「○○N以上」と示しています。
これは○○Nまでは嵌合が外れないことを意味しています。
また、当社狭ピッチコネクタのカタログには「端子固定保持力」という項目もあります。
抜去力と混同されるかもしれませんが、意味は異なります。
これは、ソケット・ヘッダの成型部分から端子が抜ける力を示しています。
いかがでしたでしょうか。今回は狭ピッチコネクタにおいて機械的特性を示す、2つの「ちから」をご紹介いたしました。次回は、FPCコネクタに関するちから、レバーロック力とFPC保持力、そしてFPC挿入力についてご紹介します。次回も是非お見逃しなく!