プリント基板の実装後、フラックス除去などを目的に洗浄工程が行われますが、
半導体リレーでは超音波洗浄が推奨されないケースがほとんどです。
これは内部構造に対する物理的ダメージの懸念があるためです。
半導体リレー内部では、ICと外部端子をつなぐ微細な金属ワイヤが使われています。
このため超音波による振動がこのワイヤに共振や疲労を引き起こし、断線や剥離につながる可能性があります。
外装の樹脂封止(モールド)部分にキャビテーションの衝撃が加わることで、
微細なクラックや層間剥離が発生しやすくなります。
これが湿気や水分の侵入経路となり、絶縁劣化や信頼性低下を引き起こします。
やむを得ず超音波洗浄を行う場合は、以下のような厳しい条件管理が必要になります。
周波数:27〜29kHz
出力:0.25W/cm²以下(洗浄槽底面に対して)
洗浄時間:30秒以下
基板や部品は洗浄槽の底面に触れないよう浮かせた状態で実施
加えて、事前に実機条件下で不具合がないことを検証する必要があります。
超音波洗浄の代わりに、以下の方法を検討してください:
IPAなど有機溶剤による浸漬洗浄+温風乾燥
スプレー洗浄や局所洗浄(筆など)
無洗浄フラックスの使用(洗浄レス設計)
観点 | 内容 |
---|---|
主なリスク | ワイヤ断線、樹脂クラックによる信頼性劣化 |
超音波洗浄 | 原則NG。やむを得ない場合は厳格な条件管理が必要 |
推奨手段 | IPA洗浄、局所洗浄、無洗浄プロセスの導入 |