導入
PhotoMOSリレーを使用する際には、「入力制限抵抗」が必要です。
本記事では、入力制限抵抗が必要な理由、選定時に重要となる「LED電圧降下」という特性、そして実際の選定方法について解説します。
 
入力制限抵抗が必要な理由
PhotoMOSリレーは、内部のLEDに電流を流すことで動作します。
そのため、電源に加えて、流れる電流の量を調整するための抵抗(=入力制限抵抗)が必要になります。
(PhotoMOSリレーの詳細についてはこちらをご確認下さい。)
更に、入力制限抵抗を考えるときには、LED電圧降下についても考慮する必要があります。
もしLED電圧降下を考慮しなかった場合、LEDに想定よりも電流が流れず、PhotoMOSリレーが動作しないという可能性がございます。
詳しく次から説明いたします。
 
LED電圧降下の影響について
たとえば、AQY212SというPhotoMOSリレーは、LEDに0.9 mA以上の電流を流すことで動作します。
したがって、少なくとも0.9 mA以上流れるように入力制限抵抗を選定する必要があります。
入力制限抵抗は、オームの法則(V=IR)で求められます。
電源電圧が5 V、流すLED電流を1.0 mAとした場合、
◆R = 5 V ÷ 1.0 mA = 5 kΩ
となりますが、このまま5 kΩを選定すると正しく動作しない可能性があります。
その理由が、LED電圧降下です。
電圧降下とは、”電流が流れる際に回路中の抵抗両端に電位差が生じる現象”です。
LEDでは、順方向に電流を流すときに電圧降下が発生します。
つまり、LED自体が電圧を消費するため、実際に入力制限抵抗へかかる電圧は電源電圧よりも小さくなります。
これを考慮せずに、入力制限抵抗を選定してしまうと、想定よりも流れる電流が小さくなってしまいます。
なぜ小さくなるかは、入力制限抵抗にかかる電圧の式が関係しています。
入力制限抵抗にかかる電圧 = 電源電圧 − LED電圧降下
たとえば、AQY212SのLED電圧降下が1.25 Vの場合、
電源が5 Vなら入力制限抵抗にかかる電圧は 5 V − 1.25 V = 3.75 V です。
5k Ωの入力制限抵抗、電圧からLED電流を求めると
I = 3.75 V ÷ 5 kΩ = 0.75 mA
となり、必要な0.9 mAに届かず、正常に動作しない可能性があります。
 
LED電圧降下を踏まえた選定方法
1.動作LED電流とLED電圧降下を確認
 各PhotoMOSリレーのカタログに記載されています。

2.電源電圧・LED電圧降下・流したいLED電流から入力制限抵抗を計算
 例:電源5 V、LED電圧降下1.25 V、LED電流1.0 mAの場合
 > R = (5 V − 1.25 V) ÷ 1.0 mA = 3.75 kΩ
 → 3.75 kΩの入力制限抵抗を選定すれば、正常に動作します。
 
まとめ
・PhotoMOSリレーを使用するには、入力制限抵抗が必要
・抵抗値を選定する際は、LEDの電圧降下を考慮することが重要