セキュリティ機器におけるリレー選定の落とし穴

セキュリティ機器に適したリレーの選び方とは?微小電流対応・接点信頼性・密閉構造など、信頼性設計に欠かせない要点を解説。


【はじめに】

近年のセキュリティ機器には、侵入検知・画像監視・入退室管理など、多様な機能が求められています。これらの機能を支える監視カメラ、センサー、電子錠などのデバイスには、信号の入出力という重要なプロセスが存在します。

特に、センサーが発する微小な電気信号を確実に制御系へと伝達し、適切な出力動作につなげることが、システム全体の正確な動作と信頼性を左右します。
しかし、この“信号の中継役”を担うリレーは、設計段階で見落とされがちな部分でもあります。

 

【信号の受け渡しにおけるリスクとは?】

セキュリティ用途のセンサーや制御回路では、数mA〜十数mAといった微小な電流・電圧で信号をやり取りすることが一般的です。
そのため、以下のような要因によって、信号のロスや誤動作が生じるリスクがあります。

  • 微小電流に対応しない接点構造・材質

  • 長期使用による接点の酸化や摩耗

  • 湿気や粉塵による接点部の劣化

  • 外部環境によるノイズや異物混入

こうした不具合が発生すると、「異常を検知しても警報が出ない」「電子錠が誤作動する」「侵入センサーの信号が正しく伝わらない」といった信頼性の低下につながりかねません。

リレーの選定は、単なる部品選びではなく、製品全体の安定性と信頼性を支える設計上の重要要素です。

 

【設計時に考慮すべきリレーの要件】

セキュリティ機器でリレーを使用する際には、以下のような性能や構造が求められます。

■ 微小負荷への確実な対応

微小信号を正確に中継するには、接点材料や構造の工夫が不可欠です。
たとえば、金合金や金貼り接点を採用することで、接点の酸化・硫化を抑制し、長期にわたって安定した導通が可能となります。

■ 接触抵抗の安定性

クロスバーツイン接点構造のように、2点の線接触で構成されるタイプでは、接触面積と接触圧の分散により、接触抵抗のばらつきを抑えられ、安定した信号伝送が期待できます。

環境要因への耐性

セキュリティ機器は屋外や高湿度環境で使われることも多いため、リレーには防湿性・耐粉塵性も求められます。
**密閉構造(プラシール構造)**を採用したリレーであれば、外部環境からの影響を遮断し、接点劣化や信号誤作動のリスクを低減できます。

 

【適用例とリスク回避の考え方】

セキュリティ機器におけるリレーの具体的な適用例には、以下のようなものがあります。

  • 監視カメラのアラーム出力制御(異常検知時の外部通知用)

  • 電子錠の駆動信号入力(解錠・施錠のトリガー信号)

  • 侵入検知センサーの感知信号入力(赤外線・ドア開閉などの信号)

これらの用途では、**「微小なセンサ信号を誤差なく目的の動作につなげること」**が強く求められます。
リレーの動作不良は、単なる部品不良にとどまらず、セキュリティ機器としての信頼性全体に関わる重大な問題へと発展する可能性があります。

 

【これらの用途におすすめのパナソニックインダストリーのリレー】

・シグナルリレー

微小負荷信号の開閉に適した、小型のメカニカルリレーです。

接触信頼性の高いクロスツインバー接点(DSリレー除く)に加え、微小負荷に適した接点材料を採用しており、様々な商品ラインアップがございます。

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・PhotoMOSリレー

出力部にMOSFETを使用した小型・無接点で長寿命な半導体リレー。

低オン抵抗・高速応答が特長。

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【まとめ】

セキュリティ機器は、「正常に動作して当たり前」という非常に高い信頼性が要求される製品群です。
その信頼性を支えているのが、センサーと制御系の間にある「信号の受け渡し部分」であり、リレーの役割は決して軽視できません。

リレー選定では、動作電圧や外形寸法といった基本スペックだけでなく、接点材質・構造・密閉性といった微小信号の中継品質に関わる要素を重視する事が重要です。

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