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検知/計測/制御関連情報

2014年07月23日

モーションセンサの環境による検出性能への影響

人や物の動きを検知するモーションセンサの中でも「MAモーションセンサ」の仕組みについて解説します。

モーションセンサとは「Motion」の名の通り、人や物の動きを検知するセンサです。今回は、モーションセンサのなかでも「MAモーションセンサ」の仕組みについて、お客様からいただいた質問をもとにご紹介します。

質問:MAモーションセンサの検出性能は、検出対象物の色や外乱光の影響を受けますか?

答え:MAモーションセンサは受光量ではなく、反射光の位置を検出しています。そのため、着ているものの色や材質、外乱光(周りの明りのこと)の影響を受けにくい構造になっています。

はじめに、モーションセンサには大きく分けて2種類の方式があります。
ひとつは「焦電型赤外線センサ」というものです。熱線センサともいわれ、広範囲を対象とした熱の変化を受信することで、検知をするという構造のセンサです。
そしてもうひとつが「MAモーションセンサ」です。MAモーションセンサは自らが赤外線を出し、反射した赤外線を検知するという構造のセンサです。

1. MAモーションセンサの動作

まずは図1でMAモーションセンサの動作を解説します。
MAモーションセンサは発光素子から赤外線(この光をパルス発光と呼びます)を出します。発光素子から出た赤外線は投光レンズで集光され、物体(人体も含みます)に当たって反射をします。図1では赤い線で示されています。
物体に当たった反射光は受光レンズを介して集光され、2分割受光素子上に集光されます。2分割の受光素子の受光量を比べ、受光素子Aよりも受光素子Bの受光量が多くなると(図1の受光素子B>受光素子A)、出力トランジスタがON状態になり、検知状態になります。

20140723-1

次に、MAモーションセンサが受ける物体の反射率や外乱光による影響について、順番に解説します。

2. MAモーションセンサへの物体の反射率の影響

MAモーションセンサは反射率に影響されにくく、確実な検出ができます。従来からよく使われている"光量タイプのセンサ"との構造の違いを示したものが図2です。

20140723-2

光量タイプのセンサは反射する光の量の多い・少ないで判断をしているため、対象物の素材や服装の影響を受けやすいという欠点がありました。反射率の低い物体は、接近しないと検知することができないのです。
一方、対象物との測距式センサであるMAモーションセンサは、2つの素子の信号レベルの差を検出するため反射物体の影響を受けにくくなっています。たとえ反射のレベルが全体的に小さくても、2つの受光素子A、Bの受光量の差は常に出ているからです。

このように、MAモーションセンサは、検出対象物の材質差や、色の差による検知距離の変化が非常に少ないセンサで、反射率90%~18%の検出対象物に対して安定した検出をすることが可能です。しかし、鏡やメタリックの様に一定方向にしか光が反射しないようなものでは、センサから放射された光がセンサ側へ返ってこないために、反射率が一見高いように思えますが、検知できません。
MAモーションセンサが検知できるもの・できないものは表1を参考にしてください。

20140723-3

続いて外乱光の影響について、引き続き光量タイプのセンサと比較しながらご説明します。光量タイプのセンサは、設定のしきい値(検知の一定値のこと)を超えると検出状態となるため、外部からの光と発光素子から出た光との区別ができない可能性があり、誤検知をしてしまうことがあります。
MAモーションセンサは、太陽光などの外部光に関係なく、2つの受光素子が受光する信号レベルに一定の差が生じるのを応用して確実に検出します。受光量の差を利用することは、外乱光を区別する必要がないため影響を受けにくい構造といえます。外乱光だけの場合も受光素子に差が生じないため、誤動作する可能性も限りなく低くなります。

いかがでしたでしょうか?今回はモーションセンサのなかでも、測距タイプのMAモーションセンサについて解説いたしました。
センサは安全面においても、とても重要な役割を果たす素子といえます。ぜひこの解説を参考にして、設計時の選定にお役立てください。


今回のキーワード

  • 赤外線:赤外線とは電磁波の一種で、視覚では捉えられないもののことをいいます。
  • パルス発光:パルス発光とはごく短い時間だけ発光する光のことをいいます。
  • 投光レンズ:投光レンズとは光を集光して放射するためのレンズのことをいいます。
  • 受光レンズ:受光レンズとはセンサ表面に反射してきた赤外光を集光するレンズのことをいいます。
  • 2分割受光素子:2分割受光素子とは2つの受光素子が並んでいるもののことをいいます。そしてそれぞれの受光素子が受けた光信号を電気信号に変えています

谷口

パナソニック株式会社制御機器コールセンター所属。久留米高専電気工学科卒業後、松下電工株式会社(現・パナソニック)へ入社。25年間の制御部品営業を経て現部署へ。 趣味:サイクリング、登山、マラソン、天体観測

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