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リレー関連情報

投稿日:2013年06月25日 / 更新日:2024年08月02日

メカニカルリレーへの周囲温度の影響について

メカニカルリレーの周囲温度による影響について解説します。回路設計の際に考慮しなければいけない点です。

お客様からいただいた質問をもとに、今回はメカニカルリレーの周囲温度による影響について解説していきます。 回路を設計する際に考慮しなければいけない点ですので、ぜひ理解を深めてお役立てください。

質問:周囲温度の違いによって、リレーコイルにどのような影響がありますか?
 

答え:周囲温度により 動作電圧、動作時間が変化します。また、使用周囲温度範囲外でリレーを使用すると、コイルの寿命低下、絶縁劣化、断線等の原因となります。

周囲温度が高くなると、リレーの動作電圧(感動(セット)電圧、開放(リセット)電圧)は高くなり、周囲温度が低くなると、リレーの動作電圧は低くなります。
これは、リレーのコイル抵抗が温度(1℃あたり約0.4%の割合)により変化するためです。リレーはコイルに流れる電流により動作します。よって動作電圧は、以下の関係式よりコイル抵抗の値で変化します。

電流(I)=電圧(V)/抵抗(R)

コイルは熱に弱く、周囲温度以外にも 通電による発熱、接点部の発熱などの影響により温度が上昇します。
コイル印加電圧や接点通電電流が大きいとコイルの温度上昇値も大きくなります(図1)。

20130625-1

また、リレーを連続通電した後、一度OFFし直ちに再度ONする場合(ホットスタート)、連続通電時のコイルの温度上昇でコイル抵抗が大きくなっているため、感動電圧が高くなり、リレーが動作しないことがあります(図2)。

20130625-2

コイルの温度が耐熱温度を超えると、発熱により絶縁劣化し、レアーショートやコイル焼損が発生する場合があります。コイル耐熱温度は絶縁種別によって異なりますので、高温で使用する機器の場合は注意が必要です。

カタログ記載の使用周囲温度の上限値は、これらのコイル温度上昇値を考慮した最高温度となります。使用周囲温度はリレーによって異なりますので、カタログ記載の使用周囲温度範囲内で、ご使用ください。
さらに、有極リレー(永久磁石:有)の場合は、磁石の磁気特性も温度の影響を受けますので、使用に際してはこれらの影響も網羅してリレー毎に確認した「周囲温度特性データ」を参考にしてください。

いかがでしたでしょうか?今回は、メカニカルリレーの周囲温度の影響とコイルの温度特性について解説しました。メカニカルリレーを使用される際は参考にしてください。

今回のキーワード

  • コイル:コイルとは導線を巻いたものです。コイルに電流を流すことで電磁誘導を発生する性質を持っているので、メカニカルリレーではこの特性を利用して動作しています。
  • 感動(セット)電圧:感動(セット)電圧とは、コイル電圧を徐々に上げていき、リレーが動作(ON)するときの電圧です。
  • 開放(リセット)電圧:開放(リセット)電圧とは、コイル電圧を定格電圧まで上げた後、電圧を徐々に下げていき、リレーが元の状態(OFF)に戻る電圧です。

 

 

 

 

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