お客様からいただいた質問をもとに、メカニカルリレーの仕様についてわかりやすくご紹介します。今回は、メカニカルリレーにおける電気的寿命と機械的寿命という、2つの「寿命」の違いについて解説していきます。カタログで仕様を確認する際の不安や疑問解消などに、ぜひお役立てください。
質問:メカニカルリレーの仕様に電気的寿命と機械的寿命がありますが、どう違うのでしょうか?答え:接点に負荷を接続するのかしないのか、という違いです。電気的寿命は、一般的に定格負荷を接続した開閉寿命を表し、機械的寿命は、接点に負荷を接続しない状態(無負荷)での動作機構上の寿命を表します。 |
2つの寿命(電気的寿命・機械的寿命)について以下の通り説明します。
1. 電気的寿命
電気的寿命とは、一般的には抵抗負荷試験での寿命を意味します(図1)。
その際、負荷の容量(接点電圧や接点電流)や種類、開閉頻度、周囲温度などの条件により寿命が異なります。負荷の例については表1を参照してください。
接点開閉時には、負荷の種類により定常電流の数倍~数十倍の突入電流が発生します。突入電流の条件により、寿命が大きく異なりますので実負荷でのご確認をお願い致します (図2)。
2. 機械的寿命
機械的寿命とは、繰り返しになりますが、無負荷試験での寿命を意味します。
リレーは機構部品である為、開閉により部品の消耗や疲労が発生します。周囲温度やコイル定格電圧以上の電圧を印加した場合など使用する環境によって、寿命の低下につながることがありますので、注意が必要です(図3)。
いかがでしたでしょうか?今回は、電気的寿命と機械的寿命の違いについて解説しました。是非回路設計の参考にして下さい。
今回のキーワード
- 接点:接点とは、電気回路で接触させて電流を通じさせる部分のことです。
- コイル:コイルとは導線を巻いたものです。コイルに電流を流すことで電磁誘導を発生する性質を持っているので、メカニカルリレーではこの特性を利用して動作しています。
- 寿命:リレーにおいて寿命とは、リレー自体が何の異常なく動作する回数のことです。
- 負荷:リレーにおいて負荷とは、出力側(接点側)で制御する対象となるもののことです。
- コイル定格電圧:コイル定格電圧とは、リレーを通常使用するために操作コイルに加える基準となる推奨電圧のことです。
- 定格電圧:定格電圧とは、接点に印加される電圧のことをいいます。
- 接点電流:接点電流とは、接点に流れる電流値のことをいいます。