お客様からいただいた質問をもとに、今回は直流駆動リレーに表示されているコイル極性の有無と極性について解説します。直流駆動リレーの選定をされる際にぜひお役立てください。
質問:直流コイルのリレーを選定中なのですが、コイル極性表示があるものとないものがあります。
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有極リレーは永久磁石を使用しているため、コイルに印加する電圧に極性があります。このタイプのリレーは、極性を間違えた場合、動作しません。
無極リレーは永久磁石を使用していないため、コイルに印加する電圧に極性がありません。このタイプのリレーは極性を問わず、極性を逆に接続しても同じ様に動作します。
また、動作表示灯や保護ダイオードを内蔵しているリレーは、内蔵しているそれらの素子が極性を持っているため、コイルに印加する電圧に極性があります。これらは、極性を間違えた場合、素子や回路内の機器が破損する原因となりますので注意が必要です。
有極リレーにはシングルスティブル型に加え、1巻線ラッチング型と2巻線ラッチング型があります。ラッチング型は、コイルへのパルス入力で動作状態を保持できるため、シングルスティブル型と比べて低消費電力タイプです(表1)。
有極リレーと無極リレーの違いについて、詳しい内容は、「パワーリレー無極・有極の違い」を参照してください。
1. シングルスティブル型
コイルに電圧を印加している間だけリレーが動作して接点がONし、電圧を取り除くとリレーが元の状態に戻り接点がOFFするリレー
※無極リレーは、極性(+,-)表示がありません(図2)。
2. 1巻線ラッチング型
コイルが1つであり、コイルに印加する電圧の極性を入れ替えることにより接点のON/OFFを切り替えるリレー(2巻線ラッチングタイプよりコイルの巻数を増やせるため、低消費電力です。)(図2)
3. 2巻線ラッチング型
SET用コイル、RESET用コイルの2つのコイルがあり、それぞれのコイルに電圧をかけることにより接点のON/OFFを切り替えるリレー(図3)。
いかがでしたでしょうか?今回は、直流駆動リレーの極性有無による違い、特徴、注意ポイントを解説しました。ぜひ回路設計の参考にしてください。
今回のキーワード
- コイル:コイルとは導線を巻いたものです。コイルに電流を流すことで電磁誘導を発生する性質を持っているので、メカニカルリレーではこの特性を利用して動作しています。
- 直流駆動リレー:コイルに直流電圧を印加し、操作させるリレー。(DCリレー)
- ダイオード:電流を一定方向にしか流さない性質を持った半導体素子。
- LED:電流が流れる際に発光する半導体素子。
- パルス(入力):ごく短時間だけ印加する電圧および電流。
- NC(接点):コイルに電圧を印加しない時 [ラッチングタイプでは、リセット状態]、 閉じている接点。(b接点)
- NO(接点)):コイルに電圧を印加しない時 [ラッチングタイプでは、リセット状態]、 開いている接点。(a接点)
- COM(接点):a接点とb接点の両方を持ち備え、2つの回路の切り替えができる接点。(c接点)