お客さまからいただいた質問をもとに、今回は直流コイルの入力電
質問:直流コイルの入力電源に全波整流を使った場合、問題ありますか?答え:感動電圧が大きく変化したり、うなりが発生するなど不都合を生じることがあります。全波整流と平滑コンデンサを組み合わせ、リップル率5%以下となるような電源の配慮が必要です。尚、実使用回路での特性確認は必要です。 |
直流型リレーの電源としては、大きく分けて以下の2種類があります。
・バッテリー(完全直流)
・交流電源を整流、平滑して直流電源として使用。
リレーの感動電圧などの特性はこれら電源の種類によって多少変化しますので、安定した特性を発揮させるには、完全直流が望ましい使用方法です。
<交流電源を使用する場合>
交流電源の整流、平滑化には、全波あるいは半波整流回路と、平滑コンデンサを組み合せます。 図1は、全波整流と平滑コンデンサを組み合わせた整流・平滑化回路の例です。
図のトランス部分では、交流の電圧を変換しています。
真ん中のダイオード部分では交流を整流し、直流に変換しています。しかしこのままでは、交流の名残りのようなさざなみ(リップルといいます)があるため、次のコンデンサ部分で平滑化し、直流に近い波形に変換しています。
コンデンサには電気を貯める働きがあり、電圧の高いところで電気を溜めて、低いところで放電し、電圧を平滑化することができます。 図2は、平滑化後の波形を拡大したものです。
この図で波形の最大値と最小値の差と平均値の比をリップル率とよびます。リップル率は、以下の式で求めることができます。
{(Emax-Emin)/Emean}×100[%]
Eminは波形の最小値、Emaxは波形の最大値、Emeanは平均値です。リップル率が大きいと感動電圧が大きく変化したり、うなりが発生するなど不都合を生じることがあります。
又、ON・OFFのタイミングが交流に同期するような形になり、接点が交流負荷を開閉しているような場合、寿命が大きく変わります。リップル率は少なくとも5%以下になるような直流電源の配慮が必要です。
尚、カタログに示している特性値はリップル率1%以下の直流電源によるものです。
今回のキーワード
- 整流:交流を直流に変換することです。
○全波整流:ダイオードを複数個使用し、交流の全波を整流することです。(図4は単相ブリッジ整流)
- 平滑コンデンサ:整流によって得られた直流の波形をよりなだらかな直流波形にするためのコンデンサです。
- リップル:平滑回路で除ききれなかった波形の乱れ(電圧変動)のことです。平滑コンデンサの充放電によって生じます。
- リップル率:リップルの変化幅のことです。求め方は本文を参照ください