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リレー関連情報

投稿日:2015年12月10日 / 更新日:2023年09月07日

リレー選定(メカニカルリレーと半導体リレー)

メカニカルリレーと半導体リレーの特徴と選定ポイントについて解説します。

質問:リレーを選定したいのですが、メカニカルリレーと半導体リレーのどちらを選択すればいいのかがわかりません。ポイントを教えて下さい。

答え:メカニカルリレー(有接点)と半導体リレー(無接点)にはそれぞれ長所と短所があります。以下にまとめた特徴とポイントをご参考に選択して下さい。

メカニカルリレーと半導体リレーの特徴

【メカニカルリレー】
■長所
①高絶縁・高耐圧
②サージ・ノイズに強い
③開路時の漏れ電流がない
④接点構成が豊富
⑤AC電源駆動タイプも有
⑥オン抵抗がほとんど無い

■短所
①接触不良の可能性がある
②チャタリング・バウンスがある
③動作音がある
④接点アークが発生する
⑤寿命がある(数十万回~数千万回)

【半導体リレー】
■長所
①長寿命
②高速・高頻度開閉が可能
③感度が高い(低消費電力)
④微小信号の開閉可能
⑤小サイズ
⑥接点トラブルがない(接触信頼性が高い)
⑦振動・衝撃に強い
⑧取り付け方向の制限がない

■短所
①定格値を一瞬でも超えると破壊される
②周囲温度の影響が大きい
③漏れ電流がある
④大部分の品番、駆動電源がDCのみ
⑤オン抵抗がある

選定ポイント

選定する際にポイントとなるのは、電圧・電流定格、開閉寿命、出力側オフ状態、入力消費電力、動作時間、駆動電源、サイズなどがあげられます。

1.電圧・電流定格の考え方

メカニカルリレーの場合は負荷電圧や負荷電流が定格値を多少超えてもすぐに破壊されることは少ないのですが、半導体は一瞬でも定格を超えてしまうと破壊に至ってしまいます。このため突入電流のある負荷や、サージを発生する負荷などの場合、メカニカルリレーはある程度耐えることができるのに対し、半導体リレーは破壊に至ってしまうので注意が必要です。

2.開閉寿命

メカニカルリレーの場合は接点の消耗があるため、一定の開閉寿命があります。
これに対し半導体リレーは機械的な接点自体がなく長寿命となります。このため開閉回数の多い用途でのご使用や、メンテナンスの頻度を抑えたい場合には半導体リレーのほうが優位になります。

3.出力側オフ状態

(1)出力側耐電圧
メカニカルリレーは、リレーの接点間が空間により完全にオープンとなり絶縁されています。一方、半導体リレーでは、空間によるオープンではない為、メカニカルリレーと比較して低電圧なアプリケーションに向いています。表1はその一例です。

出力側耐電圧仕様

(2)出力側漏れ電流
メカニカルリレーの場合、漏れ電流はほとんどありませんが、半導体リレーの場合は漏れ電流が流れます。表2及び図1は半導体リレーの漏れ電流の一例ですが、実力値はnA以下のものもあり、選別対応も可能です。

出力側漏れ電流 漏れ電流(PhotoMosリレー)

4.オン抵抗

メカニカルリレーの場合、オン抵抗はほとんどありませんが、半導体リレーの場合は品番に応じたオン抵抗やオン時電圧降下があります。
表3は半導体リレーのオン抵抗の一例です。

オン抵抗、オン時電圧降下

5.入力消費電力

PhotoMOSリレーの場合は動作に必要な入力電流が標準で5mA (高感度HSタイプは2mA)で、SSRでも推奨20mAとなっています。LED電圧降下1.5Vですので入力消費電力はPhotoMOSリレーで10mW以下、SSRでも数10mWと低消費です。
一方、メカニカルリレーの場合は入力消費電力がシグナルリレーでも100mW以上が標準となっています。

6.動作時間

半導体リレーの動作時間は、標準でもtyp1ms以下でtyp0.01ms(RF VSSOPタイプ)の高速なものもあります。メカニカルリレーにあるバウンスもありません。
一方、メカニカルリレーはシグナルリレーでも数msとなります。

7.駆動電源

メカニカルリレーの場合、DCコイル仕様とACコイル仕様のものがあり、半導体リレーは、大部分の品番がDC電源による駆動方式となります。

8.接点構成

半導体リレーは1a構造が基本です(b接点もあり)。これに対しメカニカルリレーは様々な接点構成の中から商品を選択することが可能です。

9.サイズ

PhotoMOSリレーにはサイズ3.5mm2(1.8mm×1.95mm)の本体底面積のものもあり、小型が特徴です。
一方、メカニカルリレーは小型のシグナルリレーでも60mm2あります。

今回はメカニカルリレーと半導体リレーのどちらを選択すればいいかについて解説いたしました。ぜひ、リレーを選定される際の参考にしてください。

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