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スイッチ関連情報

投稿日:2014年08月26日 / 更新日:2023年09月07日

モーメンタリとオルタネイトの動作の違い

目的に合ったスイッチを選ぶ際の参考として、2つのスイッチの動作方式の違いについて解説します。

お客様からいただいた質問をもとに、今回は2つのスイッチにおける、動作方式の違いについて解説します。スイッチの動作方式は、回路制御の際に目的に合った方式をとらなければ意味がありません。スイッチの動作方式の違いや知識を身につけて、目的に合った開閉素子を選ぶ際の参考にしてください。

質問:スイッチのカタログで、動作方式に「モーメンタリ」と「オルタネイト」の記述がありますが、どう違うのでしょうか?

答え:ボタンを押している間だけON状態になる方式が「モーメンタリ」で、ボタンを押した後に手を離してもON状態を保持する方式が「オルタネイト」です。

操作用スイッチ(今回はプッシュ式のスイッチのことを解説しています)の動作方式には、「モーメンタリ」と「オルタネイト」という2種類があります。早速、おのおのの動作方式について説明をしていきます。

1. モーメンタリ動作

まず、モーメンタリ動作について説明します。
図1に表しているように、ボタンを押している間だけON状態になり、ボタンから手を離すと復帰(OFF状態に戻る)する動作方式で、自己復帰タイプともいいます。英語ではMomentary typeと表記され、「Momentary(モーメンタリ)」は"瞬間"を意味します。

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このモーメンタリ動作の使用用途の例として、身近なものではアミューズメント施設などにあるクレーンゲームがわかりやすいでしょう。クレーンを移動し、位置を決めるボタンに使われています。
またほかにも、路線バスの降車ブザーなど、1回の動作に1度だけ押す用途のボタンに、このモーメンタリ方式のスイッチは使用されています。

2. オルタネイト動作

続いてオルタネイト動作についてです。図2で表しているのが、オルタネイト動作方式です。1度ボタンを押すとON状態になり、ボタンから手を離したとしても、ON状態を保持する動作方式で、自己保持タイプともいいます。英語でAlternate typeと表記され、「Alternate(オルタネイト)」は"交互"や"代わる代わる"を意味します。

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もう一度押すことで復帰するタイプや、反対方向に戻す(これは後述する図3のトグルスイッチを使います)ことで復帰するタイプがあります。前者の、もう一度押して復帰するタイプのことを、プッシュON・プッシュOFFタイプと呼ぶこともありますので参考にしてください。

トグルスイッチ(図3)

このオルタネイト動作方式の使用例として身近なものでは、テレビやステレオなどの主電源のスイッチ、電源がボタン式の懐中電灯のスイッチなどです。ONとOFFのスイッチを同じボタンで制御しているものには、このオルタネイト方式がよく使用されます。

3. トグルスイッチ

先ほど触れた、図3のトグルスイッチについて、もう少し説明しましょう。
トグルスイッチとは、レバーのように倒すことで切り替え操作を行うスイッチで、当社のトグルスイッチは、先ほど説明したオルタネイト方式と、モーメンタリ方式があります。

モーメンタリ方式で使うトグルスイッチのことを、当社では「ハネ返り」と表示しています。レバーを押している間は倒れた状態を保持し、離すとスイッチ内のバネの力でレバーが起き上がるようになっています。そのため、「ハネ返り」と表示されているのです。

表1は、トグルスイッチの操作方式を一覧でまとめたものです。この表に記載されている<ON>はモーメンタリ動作方式を示しています。

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ここでは、少し複雑な動作をする、No.5とNo.6の動作を解説します。
No.5のスイッチの動作は、起き上がっている状態(真ん中)がOFFで、左右どちらに倒してもON状態になります。両側が、手を離すと復帰をするモーメンタリ動作方式になっています。

No.6のスイッチの動作は、左右どちらに倒してもON状態になるのはNo.5と同じです。ただ、片方の接点はモーメンタリ動作方式で、もう片方の接点はオルタネイト動作方式を持っています。このようなスイッチの用途例として、フードプロセッサーのボタンをイメージしていただけるとよいでしょう。ボタンを押している間だけ回転したり、1度ボタンを押したら離しても回転し続けたりします。

カタログには表2のように記載していますので、上の表1と照らしあわせてご覧いただければ、それぞれの操作方式のイメージもわきやすいと思います。

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いかがでしたでしょうか? 今回はスイッチの動作方式について解説をしました。スイッチの動作方式は単に押す、倒すだけではなく、保持するのか、操作後すぐに復帰させるのかなどを考える必要があります。設計をする回路の目的に合った動作方式のスイッチを選定するために、ぜひ参考にしてください。

今回のキーワード

  • 復帰:復帰とはON状態からOFF状態になることをいいます
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